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由井正雪

 「 関が原 」という大戦の戦後処理における最大の懸念は、未だ残る「 敵対する有力大名の取扱い 」であろう。この懸念が、「 大坂冬/夏の陣 」という形で具現化したわけで、幕府が外様の「 有力大名の取り潰し 」に走ったことも理解できないことではない。
 即ち「 江戸幕府による天下泰平 」という大義の為に、「 大名取潰し 」が行われたわけだが、「 大名 」という組織を解体しても、それを構成する「 武将 」は「 浪人 」として生き残るわけで、彼らは「 領内に住むこと 」も「 他家に仕えること 」も禁止され、世に聞こえる名将が乞食に落ちぶれる例もあったらしい。

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 大名取潰しの結果は浪人の増加である。これら浪人となった者は、戦うことは知っているけれども、算盤を取って自活することは出来難い者である。故に彼らは生活に窮し、ややもすれば暴行を働いて良民を苦しめ、あるいは乱を思い謀る者さえ生じた。
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 この現状に悲嘆した「 由井正雪 」。楠木正辰の南木流を継承した門下3000人の軍学塾「 張孔堂 」の塾頭だということだ。
 各地で同時多発的に反乱を起こし、庶民と浪人の救済の為、天皇を擁して徳川幕府を転覆することを計ったらしいが、幸か不幸か、密告により計画は未然に防がれることになる。

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 さて昨今話題の「 道路特定財源 」。「 天下り 」「 汚職 」など、我々は兎角「 キラキラするものダケ 」に目を奪われガチだが、世界はそのように偏った形では存在していないらしい。
 寧ろ憂慮するべきことは、道路特定財源の「 一般財源化 」という「 大名取潰し 」によって食いッぱぐれる「 建設業に従事する建設業でしか生きて行けない末端の作業員 」という浪人を、如何に処理するか?という問題であろう。

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 大名取潰しの結果は浪人の増加である ~中略~ 故に彼らは生活に窮し、ややもすれば暴行を働いて良民を苦しめ、あるいは乱を思い謀る者さえ生じた。
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 この「 由井正雪の乱 」に危機感を覚えた幕府が取った政策はと言えば、規模縮小ではあったが過去の制度の「 維持 」だったらしい。
 その後に治安の改善が見られたことは、乱を未然に平定した「 幕府の組織力に畏怖 」したからなのか、「 幕府の政策が良かった 」からなのかは我輩には知る由もないし、この歴史的事例を意識してか、現代の「 平成幕府 」も同じ方法論で事に挑んでいるらしい。
 結果的に現時点では、平成の「 由井正雪の乱 」は未然に防がれているようだが。

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 ただ見落としてはならないのが、「 3000人を超える門下を持つ高名な軍学者 」が、「 大坂冬/夏の陣 」のたった30年後に、その字面通り、本気で「 国家転覆の実現が可能 」だと判断するハズが無い、、、ということだ。

士は己を知る者のために死す

 彼の遺書を読むと、涕涙を禁じえない。

(2008年05月04日)

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